Contact Us お問い合わせはこちら

東京サラダボウル

ドラマ メディア・放送局 映画
2025

OVERVIEW 概要

ドラマ10「東京サラダボウル」は、漫画『東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー』(原作:黒丸)を原作とした社会派エンターテインメントドラマです。舞台は、多種多様な言語・文化・食が交差し、“サラダボウル”と化している現代の東京。多くの外国人が暮らし、その存在が当たり前になる一方で、偏見や差別の影も根強い現実が横たわります。そんな社会において、警視庁東新宿署・国際捜査係に配属された、緑色の髪がトレードマークの刑事・鴻田麻里(奈緒)と、冷静沈着な中国語通訳人・有木野了(松田龍平)の異色バディが活躍。事件や犯罪の裏に潜む、外国人それぞれが抱える人生と葛藤に真正面から向き合い、ただ“外国人”としてではなく一人の人間として理解しようとする姿が描かれます。東京という都市における多文化が共存することによる課題や、社会における「こぼれ落ちそうな人々」の現実に光を当てつつ、バディの成長と信頼、そして日本社会の在り方を問いかける意欲作です。脚本は金沢知樹、演出には津田温子(NHK EP)らが参加し、音楽を王舟が担当。重厚な社会派ドラマとして注目されました。

ISSUE 課題

まず、映像化に際して原作漫画で描かれている世界観を損なわず、かつ視聴者にとってリアルな社会ドラマとして成立させることが求められました。特に、“多文化の共存”や“外国人と日本社会の関係”というセンシティブで現代的なテーマを、エンターテインメント性と社会的メッセージの両立で描く必要があり、脚本や演出、演技、音響、撮影などすべての要素のバランスが鍵となりました。

また、キャスティングにおいては、主人公・鴻田麻里(奈緒)とそのバディ・有木野了(松田龍平)には、深い演技力と、バディとしての化学反応が求められました。さらに、ドラマで起こる事件や事案に関わる外国人登場人物にも、リアルかつ多様な背景を持つキャストを起用し、それぞれの人生や苦悩を自然に表現させる必要がありました。

加えて、実在の社会問題に基づくストーリーテリングであるため、描写に偏りがないよう、制作スタッフは多言語や外国人コミュニティのリアルな声を取材・リサーチし、偏見ではなく共感を呼び起こす描写を追求する責任がありました。視聴者に「他者への共感」と「事件の真相の両方」を届けつつ、あくまでドラマとしてのテンポや緊張感を維持すること、これは大きな挑戦でした。

SOLUTION 解決策

この課題に対し、NHKエンタープライズでは以下のような制作上のアプローチを取りました。

まず、脚本段階から“エンターテインメントとしての面白さ”と“社会派ドラマとしての深み”を併せ持つ構成を意識。脚本の金沢知樹氏は、原作の多層的なストーリーを活かしつつ、各話で巻き起こる事件や事案がありながらもシーズンを通じて主人公・鴻田と有木野、それぞれの内面や社会の構造が浮かび上がるよう設計しました。
キャスティングでは、鴻田麻里役には奈緒さん、有木野了役には松田龍平さんを起用。それぞれが持つ個性や演技の幅により、緑髪で大胆ながらも人情深い刑事・鴻田と、過去の傷を抱える無表情な通訳人・有木野を魅力的に演じています。そしてバディとしての化学反応、互いの“壁”を少しずつ溶かしていく人間ドラマを丁寧に描いたことで、視聴者から多くの反響を得ることができました。

さらに、撮影や演出面では、多文化が共存している東京のリアリティに迫るため、実際の外国人コミュニティや新宿・新大久保など現場へのリサーチを徹底。ロケーションや小道具、言語表現など、外国人のリアルな生活感を忠実に反映することで、物語への没入を高めました。
音楽は王舟が担当し、独特の雰囲気と感情の揺らぎを強調するサウンドトラックでドラマを彩りました。このような多角的なアプローチにより、社会派ドラマとしての強度と、視聴者を引き込むエンタメ性を両立させることができました。

CREATIVE 制作物

本ドラマは、放送における映像作品ということに加え、関連プロモーションやメディア展開も含め、多角的に展開しました。

1. 本編映像(全9話)
2025年1月7日からNHK総合で毎週火曜日22:00にドラマ10として、全9話を放送。原作漫画の緻密さを踏襲しつつ、さまざまな事件や事案、登場人物の背景を描く形で進行し、主人公バディの成長や、東京に住む外国人の葛藤を紡ぎました。4K放送も実施されたため、映像ルックの面でも高いクオリティを追求しています。

2. キャラクター・相関図・ビジュアル素材
新大久保で撮影したミドリ髪の鴻田麻里と通訳人・有木野了のキービジュアルをはじめ、公式サイトやSNS、YouTubeでは多種多様なキャラクターごとの紹介動画を掲載し、視聴者の興味を引きつけました。役者陣を視覚的に配置した相関図も公開され、登場人物間の関係性が分かりやすく整理しています。

3. Webコンテンツ・配信施策
NHKプラスやNHKオンデマンドでの見逃し配信や再放送対応、さらにAmazonプライムビデオでの直後配信を行うなど、現代の生活にあった多岐に渡る試聴方法を展開。公式サイトではあらすじ、キャスト紹介、見どころ、特集ページなどを掲載し、ドラマへの理解と関心を高めるコンテンツ展開を提供しました。

4. 音楽とサウンド
音楽担当の王舟によって繊細に音を重ね、紡がれた劇伴は、あらゆる登場人物の心情をより豊かに表現し、物語全体を丁寧に包み込みました。メインテーマは韓国のオルタナティブバンド・Balming Tigerへ依頼。ドラマの世界観やメッセージ性に共感した彼らから生まれた書き下ろし曲「Wash Away」は作品の世界観により深みを持たせ、作品の中ではもちろんSNS展開でも多用することで、視聴者を作品に惹きつける重要な要素となりました。

これらの制作物を通じて、社会派のテーマとエンタメ性を兼ね備えたドラマ『東京サラダボウル』は、視覚・聴覚・情報展開すべてにおいて一体感のある作品として完成しました。

RESULT 成果

ドラマ『東京サラダボウル』は、制作実績として、社会派ドラマとして高い評価を得るとともに、視聴者やメディアからの反響も大きかった点が成果として挙げられます。

まず放送に伴い、メディアや評論家からは、刑事ドラマとしての面白さに加え、多文化の共存や外国人の「人間としての物語」に焦点を当てた題材選びに対し、「新感覚」「リアルな視点」といった高評価が多数寄せられました。

視聴者からもSNSやレビューなどを通じて好意的な反応が届きました。主人公バディの人間味ある関係性や、異文化理解の描写に共感する声が多く、特に「日本社会の影で生きる外国人に光を当ててくれた」という感謝の声もあり、社会的意義を伝えるドラマとして支持されました。

制作側としては、映像・脚本・音楽・キャスティングすべてが高いクオリティで統合され、NHK EPの実力を示す成果物として社内外の評価が向上したことも重要です。また、NHKプラスやオンデマンド、Amazonプライムをはじめとした国内外での配信対応により、若年層や海外からの閲覧も可能になったほか、放送を見逃した視聴者もキャッチアップすることができ、視聴者層の拡大にもつながりました。視聴率や視聴データの具体的な数値は非公開ですが、再放送や見逃し配信へのアクセスも好調で、多様な視聴ニーズに応える配信戦略の成功も示されています。

結果として、『東京サラダボウル』はエンターテインメント性と社会性の両立に成功し、NHKエンタープライズ制作作品としてのブランド価値向上に寄与しました。社会的メッセージを持ちながらも最後まで引き込むドラマを形にできた点が最大の成果です。

AWARD 受賞歴

・ギャラクシー賞2025年2月度月間賞
・東京ドラマアウォード2025 作品賞 連続ドラマ部門 優秀賞

STAFF スタッフ

原作
黒丸 『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』(講談社)
脚本
金沢知樹
演出
津田温子(NHKエンタープライズ)、川井隼人、水元泰嗣
音楽
王舟
メインテーマ曲
Balming Tiger 「Wash Away」
制作統括
家冨未央(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
プロデューサー
中川聡子