ドラマをとことん楽しむ“テーマパーク”「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」

真田の鎧兜

NHK大河ドラマ『真田丸』に沸く「真田三代の郷・上田」では、1月にオープンした「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」が絶好調、開館から3か月足らずで入場者16万人を超える勢いです。ドラマ館の展示の企画制作と施工は当社が担当し、ドラマを楽しむための展示が満載です。編集部の市川が取材しました。


市民の憩いの場にオープンしたドラマ館

「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」は、JR上田駅から徒歩およそ12分の上田城跡公園にあります。かつての堀にかかる「二の丸橋」を渡り公園に入ると、すぐ左手に見えてくるのが「大河ドラマ館」です。私が訪れたのは4月1日。この日は金曜日でしたが、学校の春休みとあって中高生や親子連れから年配の方まで、多くの人が上田城散策を楽しんでいました。桜の季節、市民の憩いの場所であるとともに、近隣から訪れる人も多いようです。

「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」

春休みの一日、桜もまもなく満開になろうかという季節 桜の名所としても知られる上田城跡公園にある大河ドラマ館のまわりでは、文字通り老若男女の姿が見られました

大河ドラマの放送に合わせて開館される「大河ドラマ館」は、大河ドラマの時代背景を深く知りドラマをより楽しんでいただくとともに、舞台となる地元に親しんでいただこうという催しです。ドラマのストーリーや史実、主な登場人物などの紹介から、衣装やセットの再現、ロケの様子を取材したメイキング映像の上映など、多彩な展示を行っています。
当社は30年にわたり、地元自治体や商工会などからご相談を受け、「大河ドラマ館」の企画や展示の施工を手がけてきました。今回のドラマ館も、展示制作のエキスパートはもとより、建築士の資格を持つ社員やデジタルコンテンツに精通したメンバーも加わって、大河ドラマ『真田丸』を研究し尽くし、展示のアイデアを検討しあいました。準備と制作に要した約1年を経て、1月17日(日)の開館を迎えたのです。

ドラマの舞台に触れる! 「本物」の衣装、上田城や真田丸の再現

「大河ドラマ館」の見どころのひとつは、「本物」つまり、実際に撮影に使われた小道具や衣装などの展示です。
「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」の館内に入るとすぐに出会うのが、こちらの衣装。皆さん、見覚えはありませんか?

信繁の衣装

『真田丸』の第一話を思い出してみてください。堺雅人さん演じる真田信繁の登場シーン、勢い余って徳川の陣中に飛び込んでしまったときの衣装です。もちろん、堺さんが着ていた、「本物」。よく見ると脇には破れ目も。堺さんの体当たりの演技の痕跡までも見て取れます。

信繁の衣装アップ

衣装の破れ目は熱演のあまりでしょうか?

真田家の衣装

こちらは、ドラマで使われた真田家6人の衣装(一部レプリカ)。中央には信繁と兄・信幸、左右に父・昌幸とその妻・薫、信繁の姉・松と幼馴染のきりが並んでいます。パネルに組み込まれたモニターでは着用シーンが上映され、ドラマの場面を振り返ることができます。

ドラマに登場する上田城も再現されています。上田城は、およそ430年前に昌幸が築城した堅牢な城。写真の丸や三角の穴は、城に向かう敵に矢や鉄砲を放つためのものです。ドラマのタイトル映像にも毎回出てきますね!

上田城

千鳥がけ

登場人物を紹介するパネルも上田城の千鳥がけ(左右に柵を配置して敵の進路を狭める仕掛け)に配置するこだわりよう

「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」の建物は、もともとは3階建ての旧市民会館を改装したものです。展示一つ一つの完成度の高さもさることながら、建物の構造を生かした立体的な空間に圧倒されます。館内では常時『真田丸』のテーマ音楽が鳴り響き、テーマパークに訪れたかのような雰囲気に包まれています。通路を抜けると目の前に広がるのが「宿敵家康と大坂の陣」のエリアです。真ん中の赤い鎧兜は、大河ドラマ『真田丸』のために特別に作られた2両のうちの1両です。ここでは写真撮影ができるので、スマホやデジカメを向ける人、鎧兜と一緒に記念写真を撮る人で、ひときわ賑わいを見せています。

鎧の前に集まる人たち

真田の鎧兜

鎧兜はドラマのために作られた2両のうちの1両 「真田RED」が引き締まって見えます

大坂の陣

大坂の陣で信繁が築いたといわれる出城「真田丸」を絵図やドラマのセットのイメージをもとに再現

関ヶ原や大坂の陣で家康が身につけたといわれる鎧兜

関ヶ原や大坂の陣で家康が身につけたといわれる鎧兜

一転、最新技術も取り入れたアソビの仕掛けも!

今回の「大河ドラマ館」の特徴のひとつに、見るだけではなく「体験できる」展示があります。当社のデジタルコンテンツ制作のノウハウを駆使して企画した、インタラクティブな展示です。

館の入り口、信繁の衣装の手前にあるのがこちらのコーナー。なにやら水墨画が描かれているような雰囲気ですが、実はこれが動くんです。

影踏みの仕掛け

影踏みする子どもさん

足元に映し出された影を踏むと、壁面に武者や忍者の姿が現れる展示 レーザーを使って読み取った足の動きに合わせて映像を映し出す仕組み

床に映された模様を踏むと、目の前のスクリーンに甲冑姿の侍や騎馬武者のシルエットが次々映し出されます。いわば、デジタル影踏み。影を踏むと何かが起こると気づいた写真のお子さんは、右に左に走り回っては影を踏んで、映し出される武者のシルエットに見入っていました。「大河ドラマ」といえば小さなお子さんはあまり観ないものかもしれませんが、ちょっとした仕掛けで子どもたちも楽しめますね。親子連れで来場する方にオススメです。

デジタル技術はこんな展示にも生かされています。下の写真をご覧ください。なにやら皆さんゴーグルのようなものをのぞき込んでいますが……。実はこれ、最新のバーチャルリアリティの仕組みを使った展示です。ゴーグルの中には、上下、左右、360度で、ドラマに出てくる真田昌幸の部屋を見回すことができるんです。ナレーションの案内に合わせ、右を見ればからくり仕掛けの扉がぐるっと回り、上を見ればスタジオセットの上から釣られた道具の様子まで見渡せるのですが……。
言葉でうまく伝えるのが難しいコンテンツの中身は、ぜひ実際に体験してみてください!

360度体験展示

お客さんがゴーグルをつけて、360度の映像で昌幸の部屋を体感 行列のできる人気の展示です

このほか、館内には戦国歴史年表や上田合戦、大坂の陣の解説など信繁が生きた時代の史実を知ることができるコーナー、時代劇の美術の裏側をご紹介するコーナーなどもあって、『真田丸』を多角的に楽しむことができるんです。

絵コンテ

信繁の登場シーンの絵コンテ ドラマの1シーンはこんな緻密な絵コンテから作り出されているんですね

鬼瓦の作り方

重厚な鬼瓦のセットは、実は発泡スチロールで作られていました 重々しく見せるテクニックが駆使されています


「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」館長 唐澤信幸さん

「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」館長 唐澤信幸さん

「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」は1月17日に開館、4月10日の段階で、入場者は早くも16万人を超えました。
訪れたお客さんの反応や館運営の手ごたえについて、館長の唐澤信幸さんはこう話します。
「特にうれしいのは、家族連れのお子さんが『楽しかった!』といって帰ることですね。この館の特色は、若いカップル、ベビーカーを押して入場されるお客さんが多いことだと思います。『大河ドラマ館』といえば年配の方がいらっしゃるものと思っていましたが、広く三世代で楽しんでいただいています。
来場者の多くは近隣や首都圏の方々ですが、沖縄からもお越しいただくなど、全国の方に楽しんでいただいています。上田は周りに温泉もあるので、『大河ドラマ館』に足を運んだ帰りにぜひ上田や周辺の観光も楽しんでいただきたいと思います」

ドラマ館のある上田市は、東京からは新幹線でわずか1時間半、日帰りも十分にできる立地です。大河ドラマ『真田丸』をもっと楽しみたいという皆さん、この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか? 今後、展示のリニューアルも予定し、ますます充実する「大河ドラマ館」。親・子・孫の三世代で楽しめる「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」が、皆さんをお待ちしていますよ!

(経営企画室 計画・広報 担当部長 市川顕)

(筆者 「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」前で撮影)

(筆者 「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」前で撮影)

 

 

 

 


「信州上田 真田丸 大河ドラマ館」

長野県上田市二の丸1-2 上田城跡公園内(上田駅から徒歩約12分)
来年1月15日まで無休で開館
午前9:00~午後5:00(入館は4:30まで)。
入場料 大人(高校生以上)600円、小人300円(20人以上の団体は大人480円、小人240円)
http://ueda-sanadamaru.com/overview/
※この記事でご紹介している写真は、特別に許可をいただいて撮影しました。館内は撮影スポット以外は撮影ができませんのでご注意ください。