2005年10月に開館した九州国立博物館には、当初より8Kスーパーハイビジョンシアターが常設され、人気を博しています。開館以来10年間、当社はすべてのコンテンツ制作を担当し、このほど新作「神やどる島 宗像 沖ノ島」が10月6日(火)より一般公開されることとなりました。
来るべき新放送時代に先駆け、当社が10年来取り組んできた8Kスーパーハイビジョンの活用事例をぜひご取材いただき、8Kスーパーハイビジョンの今後の可能性を体感していただければ幸いです。
世界初の「常設スーパーハイビジョンシアター」
九州国立博物館は、東京、京都、奈良に次いで2005年10月に開館した第4の国立博物館で、今年で10周年を迎えます。開館当初より設置されたスーパーハイビジョンシアターは、世界初の常設スーパーハイビジョンシアターで、スクリーンサイズは320インチ、座席数は34です。開館以来10年間で40万人以上が8Kスーパーハイビジョンを体験しています。
来館者の行動から、博物館でのスーパーハイビジョン利用の効果もうかがい知れます。展示品は、展示ケースや照明などの制約で、実物を見ても細部を見落とすことがありますが、スーパーハイビジョンの映像で細かな装飾などを発見し、改めて実物を見直す来館者も多いと聞きます。
なお、設備の導入はNHKエンジニアリングサービス(現NHKエンジニアリングシステム)が担当し、当社は導入以来コンテンツ制作を担当、今回公開する作品を含め、これまで計7作品を制作してきました。
新作「神やどる島 宗像 沖ノ島」について
沖ノ島は九州と朝鮮半島を結ぶ玄界灘のほぼ中央に位置し、古くから国家の安泰と海路の安全を祈って、大規模な祭祀が行われていました。祭祀の奉献品の質の高さと量の多さから、祭祀には国家が関与したと評価されています。
現在は島全体が国の史跡・天然記念物で、島の一木一草たりとも島外に持ち出すことがタブーとされる風習が守り続けられています。また、島そのものが信仰の対象で、厳しい入島制限などの禁忌により、古代祭祀の変遷をうかがい知ることができる貴重な考古遺跡が、ほぼ手つかずの状態で残されています。こうした観点から、今年、沖ノ島はユネスコ世界文化遺産日本推薦候補となり、今後、注目が高まることが予想されます。
今回、宗像大社より特別の許可を得て、沖ノ島をスーパーハイビジョンで撮影しました。絶海の孤島・沖ノ島の自然や遺跡、土に埋もれた土器など1,600年前の祭祀の痕跡や、たった一人島を守る宗像大社の神職による儀式の様子などを記録しました。立ち入りが厳しく制限され、「島で見聞きしたことを人に話してはいけない」とされる沖ノ島がどんな場所であるのか、島の空気感までも体感していただける内容です。
320インチの大画面による上映を前提に、カメラはフィックスか、極めてゆっくりとした動きにすることで、1カット1カットが持つ多くの情報量を、見る人に語りかけるように伝えることを意図した制作手法は、10年以上にわたる制作経験に裏打ちされた、8Kスーパーハイビジョンコンテンツ制作手法のトライアルでもあります。
「神やどる島 宗像 沖ノ島」
11分 企画 九州国立博物館 制作 NHKエンタープライズ
2015年10月6日(火)より、九州国立博物館(福岡県太宰府市)にて上映開始