常識のカラを破る“ソノタ”を愛でる『魅惑のソノタ』

『魅惑のソノタ』出演者今や「多様性の時代」。ですが人々は大多数を占めるスタンダードに安住しているのが現実かも。そんな中で勇気をもって個性を発揮するのが、その他のもの、すなわち「ソノタ」です。「ソノタ」の数々を面白がる『魅惑のソノタ』。一風変わったエンターテインメントが、大型連休の土曜に放送されます。


銭湯の壁絵の「定番」といったら……富士山!
体育会系男子の昼ごはんの「定番」といったら……しょうが焼き、トンカツ、カレー、ラーメンというところでしょうか?

そう、世の中のありとあらゆるものには「定番」が存在している。
そして、この番組は、いささか神妙な面持ちの、さまぁ~ず大竹さんのこんな宣言からはじまります。
「ものごとは三つに分類できます。大多数を占める『定番』」。定番から派生した『バリエーション』。そして、その範ちゅうを超える、『ソノタ』」。
多数派に流されず、孤高の個性を主張する、勇気あるソノタたちを、我々は支持します!」

この後は、当然、三村さんのツッコミが入って快調にスタートするのですが、この番組の肝はここに要約されています。型破りな「ソノタ」を愛でて、みんなで一緒に楽しもう、というわけです。

去年の末に開発番組の特集番組として放送した例からご紹介しましょう。
二宮金次郎像の「定番」といえば……これ。

定番の二宮金次郎

薪(まき)を背負い、歩きながら、本を読む、「勤勉」の象徴です。ところが、全国を見渡すと、金次郎さんは、定番からちょっとずれた姿でいることがあるのです。薪を傍らに置いて座って本を読んでいたり、薪ではなく、魚を入れる魚籠(びく)を背負っていたり……。それぞれ、交通量の多い場所で「歩きながら本」を子どもが真似するとあぶない、海辺の町に薪は不自然、など、「事情は分かる」例です。つまり、これらは「バリエーション」に分類できます。

そして、さらに探すと、もはや枠からはみ出しまくった、「二宮金次郎のソノタ」が存在していたのです。

デジタル金次郎

金次郎さんも、IT化の波には乗っかりました。タブレット端末を手にした、超現代的な、「デジタル金次郎」。

小便金次郎

なんと銅像界のもう一つの雄、小便小僧と華麗なるコラボが実現。「小便金次郎」

ジェット金次郎

これは、はたして金次郎と言っていいのか? 本を読んだまま、ロケットを背負い大空に飛び立つ、「ジェット金次郎」

一見、バカバカしいけど、無視できないインパクトがある。製作者に聞いてみると、用を足している最中でも勉学をやめない、勤勉の究極の形だったり(実際ゲストでいらっしゃった荒俣宏さんは経験があるとおっしゃっていました)、とてつもない夢を持って旅立ってほしい、というメッセージがジェット噴射に込められていたりするんです。
つまり、精神は立派に「金次郎」である、ともいえるわけです?!
ここにいたって、紹介した「ソノタ」は独自の輝きを放ち、決して「その他(いろいろ)」ではなくなる。だから、番組では、「ソノタ」を、あえて音楽の「ソナタ」と同じイントネーションで発音することにこだわっています!

今回放送する2回シリーズでは……
「通販で売っているモノ」の定番は、本や食料品、服など。でも、世の中には、誰が買うのかわからない、とんでもないモノが売っていた!
「大相撲の優勝力士への副賞」といえば、酒や米。しかし想像を越えたこんなものも贈られていた!
他にも、進化する「カプセルトイ」「スマホアプリ」の「ソノタ」、驚きの代行サービスなどを取材。
「定番」はなぜ定番になったのか……。そこには思わず話したくなる物語が。そして、こんな「ソノタ」が生まれてしまったのはなぜ? ……衝撃の理由が明らかに!

そもそも、この番組のコンセプトは、フジテレビで数々の伝説的なバラエティ番組を制作、現在は共同テレビにいらっしゃる小松純也さんから持ち込まれたものでした。そして、民放バラエティの精鋭陣が集い、NHK、NHKエンタープライズのスタッフとともに制作しています。
会議のたびに、候補の「ソノタ」ネタで、これはちょっとウケ狙いがすぎるなあ、というものから、天然で、そんなつもりはないのに型破りになってしまったものまで、たくさんの例がでてきます。

そんな中から、「これは『ソノタ』だ」、としかいいようのない、輝きを放つものが現れてくる。
それは、おおげさに言えば、最近の世の中、たとえば、ネットで誰かを急にまつりあげたり、逆に一斉にダメ出ししたり……そして次の獲物はいないか、とみんなで目を光らせているような……世の中に抗う、あるいは、軽くツッコミを入れて笑い飛ばすような、毅然とした「何か」です。「ソノタ」があるから、世の中、ホッとするし、捨てたもんじゃない、と思う。

民放の人気番組で面白さを追求するプロ集団が、「NHK」という枠でマジメに遊ぶ。すると、“納得”して笑いながら“仰天”するエンターテインメントになりました。その意味で、この番組も、NHKプログラムの「ソノタ」(もちろん、イントネーションが音楽のソナタの方です)になるといいな、と思っています。

(制作本部 番組開発 エグゼクティブ・プロデューサー 水高満)


『魅惑のソノタ』

4月30日(土)、5月7日(土)夜11時からNHK総合テレビで放送