しんがたコロナってなんだろな〜子供のための新型コロナ予防

■しんがたコロナってなんだろな〜子供のための新型コロナ予防(前編)
■きみだからできること〜子供のための新型コロナ予防(後編)

「不足しているのは、子どもへのわかりやすい説明、だと思います。」
「年齢に応じたわかりやすい情報提供を子ども自身に届けるという、何らかのアクションができたら…」

始まりは3月上旬、取材を通してお付き合いのあった国立成育医療研究センターの小児科医、田中恭子先生から届いた一通のメールでした。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、安倍首相が全国の小中高に臨時休校を要請してから1週間あまりが経ったころです。

田中先生の言葉には、はっとさせられるものがありました。そのとき、NHKも含めてメディアが子ども向けに出していた情報は、「新型コロナウイルスとは一体何で、そしてなぜ今社会はこんな非常事態に陥っているのか」というそもそもの説明よりも、「学校が休みになったらこうしよう」「家で過ごす時間が増えたらこうしよう」といった“対症療法”を伝えることに重きを置いていたように感じられていたからです。

“対症療法”を伝えることがメディアの重要な役割であることに疑いはありません。しかし、「なぜ今、自分たちはこんな状況に置かれているのか」という根本の部分に対する納得感が子どもたちの中にないままでは、伝わるものも伝わらないかもしれない…その認識に至ったのとほぼ同時に、そこをケアする何らかの動画コンテンツをつくろう、というアイディアが生まれて制作したのがこの2本の動画、【しんがたコロナってなんだろな】【きみだからできること】です。絵は画家の母、着彩はデザイナーの義姉、構成・音楽・動画作成は私という、いわば“家内制手工業”でつくりました。監修は、国立成育医療研究センターの田中先生が無償で担当してくださっています。


対象は、未就学〜小学校低学年の子どもたち。厚生労働省や文部科学省、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が発表している情報を元に、田中先生から医学的・発達心理学的なアドバイスを細かくいただいて完成しました。公開から数日で再生回数が8千回近くに達しており、この動画にニーズを感じてくれる方が一定数はいらっしゃるということかな、と思っています。微力ではありますが、今回の取り組みが新型コロナウイルス感染症の拡大防止に少しでも役立ってくれることを願っています。
(情報文化番組ディレクター 後藤遷也)


【監修の田中恭子先生(小児科医/国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科 診療部長)からの言葉】

日々、新型コロナウイルス感染症から、わが子を守るために奮闘されている皆様に、心からのエールを送ります。
この非日常的な現状においては、子どもたちの心を守ることも大切です。
新型コロナウイルスに関するさまざまな情報が流れる中、状況を理解できていない子どもに説明を行わないまま、対策をあれこれ指示するだけでは、不安を増幅させてしまったり、混乱を生じさせてしまったりすることにもなります。
だからこそ、子どもにもわかる言葉で納得を引き出し、自発的に感染予防策を取れるように導くことが重要です。
そしてそうすることは、この時期の子どもの発達に必要な、「基本的生活習慣の獲得」「主体性の獲得」を促し、さらにはヘルスリテラシーを養うことにもつながります。

この動画は、小学校に上がる前の幼児期から、小学校低学年のお子様に向けてつくられたものです。
この時期の子どもの理解を促すためのポイントは、大人が決めたことを一方的に指示するのではなく、子どもと一緒に、ご家族でルールを決めていくことです。
最後に、この時期の子どもは、一番の愛着対象である、親の感情の転移を受けやすいという性質があります。
そのため大人の皆様も、不確かな情報に惑わされず、冷静にこの事態に対処することが望ましいでしょう。
大人自身も、深呼吸や、1日に数回は遠い空を眺めるなどのストレスコーピング、リラクゼーションを積極的に取り入れながら、協力しあって、みんなでこの困難を乗り切れるようにしたいものです。

【国立成育医療研究センターのホームページはこちら】