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映像コンテンツ 2017年12月25日

悠々とした大人の時間「海と星空の散歩道」

2010年に国際線ターミナルが新設された際、国際線ターミナル5階の「TOKYO POP TOWN」に、プラネタリウムを見ながら食事ができる「PLANETARIUM Starry Cafe(プラネタリウム スターリーカフェ)」がオープンしました。もちろん飛行機の搭乗チケットがなくてもご利用いただけます。NEPでは以前もここで上映する映像「Flower Universe -東信 花宇宙の旅-」を制作しましたが、今回新たな作品を制作し、冬の番組としてご覧頂くことができるようになりました。制作を行った和田プロデューサーが詳しくご紹介します。


日本の空の玄関口、羽田空港の国際線ターミナルにある「PLANETARIUM Starry Cafe」。その新作プログラム「海と星空の散歩道-Southern Ocean Promenade」の上映が11月25日からスタートしました。NEPが制作した作品としては、前作の「Flower Universe」以来2年ぶりとなります。

海と星空の散歩道

完成したプログラムはぜひ多くの方に「PLANETARIUM Starry Cafe」で食事やお飲み物とともにゆっくりと楽しんでいただきたいと思いますが、このページをご覧の皆さんには、ちょっとだけ制作者的な視点で舞台裏をリポートしたいと思います。

 

これまでにも自然科学番組などで海をテーマにした水中映像の制作を担当した経験はあるのですが、水中での本格的なドーム用映像(全天周映像)を撮影するのは初めてでした。撮影機材の選定に悩みましたが、今回のロケでは視野角180度の全天周映像を撮影できる特殊なカメラと、通常の4Kカメラの2種類で並行して撮影を行うことにしました。

全天周撮影ができるカメラでは、ワイドアングルを活かしてサンゴの森のなかから海面を見上げているような映像や、回遊魚の群れの中で一緒に泳いでいるかような迫力のある映像をねらい、通常の4Kカメラでは、生き物のアップや望遠レンズが必要なカットをじっくり撮影していきました。現地のインストラクターや研究者達の指導監督のもと、海中の動植物を傷つけないよう細心の注意を払ってロケを実施しています。

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期待を込めて臨んだ水中の全天周映像撮影ですが、撮影が進む中でその特徴や長所・短所がわかってきました。180度の全天周映像は、空間全体を写すには適していますが、被写体を大きく見せるためには相当近づいて撮影する必要があり、水中撮影の難易度が高くなります。また、ワイドレンズの映像が続くと見ていてとても退屈であるということもわかってきました。そこで編集では16:9で撮影した映像も積極的に活用していくことになりました。

しかし、16:9の平面映像をそのまま球体状のドームスクリーンに投影すると、映像が大きく歪んで見えてしまいます。そのため、平面映像を違和感なく投影するためには、スクリーンに合わせてわざと歪めた映像を作る必要があります。放送番組の制作を得意としてきたNEPでは、平面映像をドームやVR映像に展開するために様々なトライアルをしてきました。ちなみに私はこの処理を「曲げ」と呼んでいます。

画面を曲げるためのアプリケーション

画面を曲げるためのアプリケーション

この映像の「曲げ」が、今回私が最もこだわったポイントです。映像処理のアプリケーションを使って、1カットずつパラメーターを調整していきました。

平面映像の「曲げ」には一定の手法があるわけではなく、映像に写っている被写体の形状や絵柄、アングルやサイズ、さらには演出上の狙いによって、最適な「曲げ具合」がそれぞれ違います。今回の作品では「どの席からも違和感なく、迫力のある映像を楽しめる」ということを目指して、調整を重ねました。

こうして加工した映像素材は、社内に設置した仮設ドームや営業時間外のプラネタリウムで試写を繰り返し、確認していきます。
「このくらい曲げると気持ちよく鑑賞できる」
「これくらい曲げてしまうとやりすぎて不自然」
といった感覚的なやりとりを制作チーム全体で共有し、映像に反映させていきます。映像素材は4Kサイズで撮影していますので、画像処理に毎回多くの時間が必要となりました。

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社内に時々出現する試写用の仮設ドーム

さらに今回特に苦労した点は、見る場所に応じた映像設計でした。「Starry Cafe」では、座席がドームに沿って円形に配置されており、お客様によっては逆から鑑賞することになります。通常プラネタリウムなどのドーム映像では、視野が180度とはいえ、映像の「正面」方向は決まっていて、観客の視線を適切に誘導しながら映像を設計していきます。ところが今回のプログラムでは、お客様がいつどの方向を見上げていても楽しめる映像を作る必要がありました。

試行錯誤の結果、どの場所から見てもそれぞれ楽しめるように映像をつくりこんでいますので、ぜひいろいろな場所からの景色を実際に体験していただければと思います。360度バーチャルリアリティーと同様、お客様自身が自由に「映像を切り取る」ことができるということもドーム映像の面白いところの一つだと思います。

実写映像と光学式プラネタリウムが融合するシーン

実写映像と光学式プラネタリウムが融合するシーン

「海と星空の散歩道」は、海中のドーム映像と光学式プラネタリウムの投映を組み合わせたハイブリッド投影作品として制作しました。星空に関しても、海中の映像と同様、ゆったり見せるところはゆったりと、場面の転換時には実際の星空の動きよりやや速めの速度にするなど、演出にメリハリをつけました。天文機器メーカーの老舗、五藤光学研究所製のプラネタリウム投映機「パンドラ」が描く約4,000万個の星々もぜひ「Starry Cafe」で実際にお楽しみください。

そして本作の音楽を担当いただいたのは、学生アーティストの小髙佑さん。以前、動画投稿サイトでたまたま目にして、個人的にとても気になっていたアーティストです。作品のイメージにバッチリ合うと確信した私は、SNSを使ってファーストコンタクトをとり、アメリカの大学に留学中の小髙さんと100通以上のメールを重ねて楽曲を作り上げていきました。ぜひこだわりの音楽にも注目していただければと思います。

羽田空港国際線ターミナル

羽田空港国際線ターミナル

(グローバル事業本部 デジタル・映像イノベーション 和田慎太郎)


羽田空港国際線旅客ターミナル5階 TOKYO POP TOWN
「PLANETARIUM Starry Cafe(プラネタリウム スターリー カフェ)」
営業時間 午前7時~午後11時
入場料 大人(中学生以上)520円/子供(2歳以上)310円 ※別途ワンドリンク制

『海と星空の散歩道-Southern Ocean Promenade』
①11:20 ②15:20 ③19:20 ④21:20

※詳細は「PLANETARIUM Starry Cafe」ホームページをご覧ください

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