若きエンジニアたちの熱い戦い 「NHK学生ロボコン2016 日本代表決定戦」

今年も理系学生の夏の祭典「NHK学生ロボコン」が7月10日に開催されました。今年から会場が大田区総合体育館に変わり、これまでより5倍近い観客の方にご覧頂けるようになりました。日本代表を目指し繰り広げられる、手に汗握る白熱のバトル。今年はどこが優勝したのか! 学生たちの熱い戦いを中野チーフプロデューサーがお伝えします。


robocon2016

「3、2、1、スタート!」

3,000人の大合唱で、決勝戦が始まりました!
記録用タイマーを操作する我が指先に緊張が走ります。どうか押し間違えませんように!

決勝に勝ちあがった2チームは、いずれも課題クリアに20秒を切るタイムが出せる実力者。優勝の瞬間を見逃すまいと、会場にいる全員が身を乗り出して競技フィールドを見つめます。その期待に応えるかのように、コースをかけめぐるロボット。課題クリアを示す旗がめまぐるしく上がっては下がり、すぐまた上がり・・・息をつく間もなく試合終了! 公式タイムはなんと16秒!

robocon2016

優勝の瞬間! 本当に僅差でした。 (注:勝利が決まった時点で両チームのタイマーが止められています。)

robocon2016

ABU代表選考会として15回目の記念すべき大会。

ここは、東京の大田区総合体育館です。去る7月10日、世界大会「ABUロボコン」への出場をかけて日本代表を決める「NHK学生ロボコン」が開催されました。今年は、2度のビデオ選考を突破した24チームが全国から終結。応援団やファンおよそ3,000人が見守る中、手に汗握る大熱戦が繰り広げられました。

ロボコンという言葉に、「NHKでたまに放送しているな」、と思い出してくれたあなた! 「学生ロボコン」を含めたロボコンについて、少しだけ紹介させてください。

ロボコンが生まれたのは1988年。来年30年目を迎える「高専ロボコン」が始まりでした。その「高専ロボコン」から派生したのが「学生ロボコン」と、その優勝者がアジア太平洋の国々の代表と競う「ABUロボコン」です。

robocon2016

「3、2、1、スタート!」 全試合、このコールで開始します。

「学生ロボコン」と「ABUロボコン」は同じルールで行われますが、ルールを作るのはその年の「ABUロボコン」を主催するホスト放送局。我々事務局も、いわば他人が作ったルールとその思想をよく理解することが、極めて重要になります。
昨年の8月に今年のルールが発表されて以来、学生たちは寝る間も惜しんでロボット製作に没頭してきました。それを思う度に、我々も身を引き締め、競技委員の先生方のアドバイスを仰ぎながら、真剣に「ABUロボコン」のルールと向き合ってきました。

さて、そんな独特の緊張感がある「学生ロボコン」ですが、今年の競技は「Clean Energy Recharging the World」。クリーンエネルギーをテーマにした、ちょっと変わった障害物レースです。坂道やジグザグ道を進む「エコロボット」と呼ばれる子機には、前進するためのエネルギーが搭載できません。そこで、親機の「ハイブリッドロボット」が風力や磁力などを用いて間接的に動かします。ゴール付近で「エコロボット」が運んできたプロペラを「ハイブリッドロボット」が受け取った後、風力発電所に見立てたポールを登り、先端にプロペラを装着すれば、勝利となります。

robocon2016

フィールドパース図

今年の決勝は東京大学VS豊橋技術科学大学。東京大学は、4年ぶりの日本代表返り咲きを狙い、開発に携わったメンバーだけでも60人弱に登るという大布陣。本気度マックスで作り上げたロボットは、出場チームで唯一、コース攻略に磁力を使っていて、とても静かで動きも滑らかです。対する豊橋技術科学大学も、これまで3度日本代表になっている優勝常連校です。
昨年、まさかのロボット不具合で敗退した東大。何よりも安定性を優先させたというその言葉通り、安定したロボットの動きを再現し、決勝での接戦をものにしました!

robocon2016

東大の応援団。応援にも熱が入ります。

この白熱の大会の模様は、8月6日(土)にNHK総合テレビで放送予定です。リオデジャネイロオリンピックの開会式を観た後は、こちらの「NHK学生ロボコン2016 日本代表決定戦」も是非ご覧ください。学生たちがこの1年間かけてロボット製作と格闘した様子や大会の舞台裏など、会場では見ることのできない側面も、ふんだんに盛り込んだ内容となっています。

それと、優勝は逃しましたが、ビデオ審査のときから私の個人的なイチオシだったロボットも(きっと)たっぷり紹介されるはずです。そのカッコいいデザイン・変形する様子は正に「トランスフォーマー」です!

理系学生の真剣勝負。涙なしには観られません。ティッシュ、ハンカチをご用意のうえご覧ください。

また、8月21日にタイ・バンコクで行われる「ABUロボコン」は、9月22日(木・祝)NHK総合テレビで放送予定です。
日本代表となった東京大学の活躍や如何に?! どうぞお楽しみに。

(グローバル事業本部 イベント・映像展開 チーフ・プロデューサー 中野朗子)

 

【放送予定】
◆NHK学生ロボコン2016 ABUアジア・太平洋ロボコン 日本代表決定戦
8月6日(土) 午後4時5分~5時4分 NHK総合テレビ

◆ABUアジア・太平洋ロボコン2016 世界王者決定戦
9月22日(木・祝) 午前10時5分~10時59分 NHK総合テレビ

ロボコン公式サイト
http://www.official-robocon.com/


※関連記事 学生とロボットはなんだかんだやってくれる - NHK学生ロボコン2015