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映像コンテンツ 2016年02月01日

夏帆さん主演 整理整頓コメディー「わたしのウチには、なんにもない。」

主人公まい

「片づけ」「持たない暮らし」が気になる、そんな方、多いですよね? そんな折、川崎プロデューサーが手に取ったのが、ゆるりまいさんのコミックエッセイ「わたしのウチには、なんにもない。」。これを原作にしたコメディードラマの放送が、2月6日に始まります。


のっけから、失礼します。告白します。私は片づけベタな女です。
私の机の上を見たことがある人は「自覚しているならとっとと片づけたら?」、と思われるに違いありません(汗)。自宅も常に雑然としていてなんとなく落ち着きません。モノが多すぎる、ということはわかっているのですが、「気に入っていてもったいない」とか、「今すぐ使わなくてもいつか使うのではないか」とかいう観念に囚われて、捨てることがなかなかできません。しかも忙しいとストレスを買い物で発散する悪癖があり、モノは増える一方です。

今こんな「片づけられない」イライラを抱えている人が多いのではないでしょうか?

話を一気に広げますが、多くの日本人が片づけられない悩みを抱えているということと日本の現代史は、リンクしていると私は思っています。戦後の高度成長期を経て、ジャパン・アズ・ナンバーワンとうたわれるほどの驚異の経済発展をなしとげた日本は、モノがあふれる豊かな社会になりました。その背景では、仕事を求めて人々は地方から都市へと集中。核家族化が進み、生まれた家に代々住むということもなくなり、先祖代々のモノを使うということも少なくなりました。今では、日本中が空き家だらけという問題も抱えています。

「片づけ」と一言で言っても、それはなにも日常の身の回りの整理整頓の問題だけではありません。離れた田舎で年老いた親が暮らす「実家の片づけ」、自分の死後の家族やパートナーのことを考えた「生前整理」、家族や友人を失ったあとの「遺品整理」、あるいは、いわゆる「ゴミ屋敷」問題などなど……。そう、「片づけ」はいまや、社会的な問題になっているのです。「断捨離」本は累計300万部も売れたそうですが、さもありなん、です。

私自身、毎日のように「片づけてすっきり暮らしたい!」と思いながらも整理整頓は一向に進まず、片づけ本までもが捨てられず増えていくという負のスパイラルの渦中です。そんなとき出会ったのが「わたしのウチには、なんにもない。」(作 ゆるりまいさん)という実話をベースにしたコミックでした。そこには三度の飯よりも捨てることが大好きで、ちょっとでも不要なものがあると強烈な捨てたい衝動に駆られるという、人呼んで「捨て変態」女子のリアルな生態がコミカルに描かれていました。

彼女の家は、ガラーンとしていて、必要最小限なモノ以外「なんにもない」。コミックに挿入された実際のインテリアの写真は、片づけ下手の私には、信じられないほど、整然と美しく見えました。リモコンやティッシュケースまで棚に並べられ、なんといってもモノが少ない! しかし、そんな「捨て変態」女子も実はかつてはどの家よりもモノであふれかえった「汚屋敷(おやしき)」の住人だったというのです!

原作には、主人公まいが高校生のときの失恋をきっかけにモノを捨てる快感に開眼したこと、祖母や母など筋金入りの捨てられない家族との「捨て」をめぐるバトル、多すぎるモノは凶器となりうることを身に沁みて感じた震災の体験、遺品を通じて知った家族の思い……などなど、「片づけ」や「捨て」にまつわる多様な物語が描かれていました。たかが「片づけ」されど「片づけ」。そこには案外深いドラマがある!なんとかこれを番組にできないか、と思い立ちました。

主人公まい(夏帆さん)が“捨て”に目覚めたのは高校時代

主人公まい(夏帆さん)が“捨て”に目覚めたのは高校時代

ゆるりまいさんの原作をもとに未だかつてないコメディーを世に出そう! とスタッフ・キャストが結集したのは昨年夏。現代的な人間関係の機微を笑いの中に描いた「祝女」の脚本家・新井友香さん。「問題提起を押し付けるのではなくポップな笑い話にしたい」と語っていた気鋭のCMディレクター・有働佳史さん。そして「MOZU」「ALWAYS 3丁目の夕日」などの大作で知られ、NHK番組は初となる制作プロダクションROBOTのプロデューサーの梶原富治さん、鈴木丈亮さん、田村豊さんには、映画並みの贅沢な制作体制を組んでいただきました。そのスタッフがいかに豪華だったかは、ここには書き切れません! すみません!

主役を演じてくださったのは夏帆さん。「捨て変態」というかなり変わった役どころでありながら、実にチャーミングに、コミカルに、振り切って演じてくださいました。最初の顔合わせでポロッと「私、コメディーが苦手……」とおっしゃっていたのが嘘のような、肝の座ったコメディエンヌぶりです。のべ21日に及んだ撮影では、早朝から深夜までたった一人でひとり芝居をしなくてはならない日があったのですが(しかも無限とも思える役替えのある一人3役の合成シーンあり。)、深夜、全く音(ね)を上げることなくそれを演じ切ったときには、「よくやった!」と感激のあまり、私のほうが現場で泣いてしまいそうになりました。夏帆さん、この場を借りて、本当にありがとうございました! 演技力はもちろん素晴らしい精神力をもった女優さんです。

夏帆さん、気合いの鉢巻きで捨てまくる「捨て変態」を熱演

夏帆さん、気合いの鉢巻きで捨てまくる「捨て変態」を熱演

「次に捨てられるものはないか?」吟味するまい

「次に捨てられるものはないか?」吟味するまい

そして、「捨て変態」の孫と価値観があわず対立を繰り返す祖母に江波杏子さん。なかなか捨てられない母役に朝加真由美さん。「捨て」をめぐる家族の戦いが起こるたびにやさしく妻を支える夫に近藤公園さん。3週間にわたり、実際の民家を借り、一つ屋根の下で過ごしたせいか、皆さん、本当の家族みたいに見えました。

“捨てられない”祖母(左 江波杏子さん)と母(右 朝加真由美さん)

“捨てられない”祖母(左 江波杏子さん)と母(右 朝加真由美さん)

心やさしい夫(左 近藤公園さん)は、大事なものをまいに捨てられても怒れない……

心やさしい夫(左 近藤公園さん)は、大事なものをまいに捨てられても怒れない……

この番組は、楽しみながら片づけノウハウが学べるアニメやミニドラマが本編の合間に挿入されるという、ユニークな作りになっています。しかし、私は、「捨てること」や特定の「整理整頓術」を皆さんに伝授したいとは全く思っていません。主役の「捨て変態」まいも、震災を経験し、家族とのバトルや別れを経て、モノを愛する心を育み、捨てられないモノがあることにも徐々に気づいていきます。

戦後のモノのない時代に育ち、捨てることが大の苦手な祖母・はつ子を演じてくださった江波さんが、撮影の合間に、メイク室で何気なくおっしゃった一言が忘れられません。
「これは、欲望と精神のドラマよね」
企画していながら、気づいていなかったのですが、「片づけ」は社会問題である前に、実は人間の心の問題なのですね。

ポスター

ところで、原作では、主人公が卒業アルバムまで捨ててしまい友人たちにドン引きされるという話が出てくるのですが、今回、番組の成功を祈って(?)、私も撮影開始にあたって、自分の卒業アルバムを捨ててみました。そのことを同僚に言ったら、実際に後ずさりするようにしてドン引きされたので、あまりオススメできないかもしれません……。

(制作本部 情報文化番組/グローバル事業本部 展開推進 エグゼクティブ・プロデューサー 川崎直子)


整理整頓コメディー
「わたしのウチには、なんにもない。」

原作 ゆるりまい
脚本 新井友香
音楽 吉田ゐさお
演出 有働佳史

出演
夏帆、近藤公園、趣里、大久保聡美、朝加真由美、江波杏子 ほか

エンディング曲「眠っているあいだに」ビューティフルハミングバード

2月6日(土)から毎週土曜日 午後10:30~10:59
NHK BSプレミアム
http://www4.nhk.or.jp/P3879/

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