時代を切り拓くコンテンツ創造企業 ENGLISH
イベント 2015年11月09日

新感覚「4K」プロジェクションマッピング・コンサート『青のシンフォニー』

「4K先進県」徳島県で、10月、4Kとプロジェクションマッピングを駆使した新しいスタイルのコンサートが開催されました。“斬新な音楽空間を作り出そう!”社内、さらに協力会社の力も結集し、アイデアと工夫を凝らした制作現場。そのチャレンジを、担当の関山プロデューサーが語ります。


オーケストラ生演奏
×4Kクオリティ プロジェクションマッピング
×4K・13カメラ収録
×4K生伝送(ライブ中継)
×インタラクティブ
=新感覚「4K」プロジェクションマッピング・コンサート『青のシンフォニー』

……いきなり長い方程式のような掛け合わせをご覧になって、「???」と思った方も多いかと思います。
「4K」は言わずと知れた最新のデジタル映像規格、ハイビジョンの“4倍きれい”な映像です。10月下旬、私たちは、「4K」に徹底的にこだわり、生演奏と最新テクノロジーを融合させた“新感覚なコンサート”を制作させていただきました。
とにかく、「新しいことをやってみる」を合言葉に、スタッフの皆様にも、いろいろご苦労をおかけしてしまいましたが、幸い、好評の声を多数いただき、ホッとしています。
今回の“新感覚なコンサート”は、どのようにして生まれたのか、制作プロデューサーを務めた私から報告させていただきます。しばし、お付き合いください。

徳島県発、チャレンジングな新感覚コンサートが生まれた背景

徳島県北東部に位置し、徳島市から車で1時間ほどの阿波市。4つの町が合併して誕生した同市制10周年記念事業の一環として、2015年10月24日(土)、25日(日)に実施されたイベントこそ、新感覚「4K」プロジェクションマッピング・コンサート『青のシンフォニー』でした。

会場の阿波市「アエルワホール」

会場の阿波市「アエルワホール」

そもそも、なぜ、このような新しいスタイルのコンサートが徳島県で企画されたのでしょうか?
実は、徳島県は「4K先進県」を標ぼうし、積極的に4K技術・コンテンツの普及や制作者の育成などに取り組んでいます。飯泉嘉門県知事ご自身が、4Kなど高精細映像をはじめ、最新テクノロジーに対する造詣が極めて深いのです。
音楽文化を通して地域の活性化を図る取り組みも盛んで、オーケストラの音楽活動や指導が県全域で積極的に行われています。
こうした背景があって、「オーケストラの生演奏」と「4K」や「最新テクノロジー」を活用した「チャレンジングで、次世代型のコンサートをやりましょう!」となったのです。

さらに、光ファイバーを通じてコンサートの模様を4Kリアルタイム伝送する実証実験も行いました。伝送先は、およそ40キロ離れた徳島市内の「アスティとくしま」。当日は、「とくしま子ども発明・科学の祭典」という催しが開催されていて、ここに参加する子どもたちにも“新感覚”なコンサートを4K映像で体験していただこうという趣向です。実は徳島県は、全国屈指、総延長20万キロ! の光ファイバー網を誇る、光ブロードバンド(高速大容量回線)王国でもあるのです。

「次世代を担う子どもたちにこそ、最先端のものを見せるべし!」
知事をはじめ、徳島県、阿波市の皆さんの思いが、コンサートのハードルをどんどんあげていくこととなったのです(苦笑)。

コンサート『青のシンフォニー』その概要

吉野川の「青」。「ジャパンブルー」として世界に知られる藍の原点とも言える阿波藍の「青」。そして、徳島が開発をリードする青色発光ダイオードという「青」……。「青」をテーマに、徳島県を表現する、音楽と映像が織りなす新感覚・体感型組曲を目指しました。総合演出は、制作本部 エンターテインメント番組 横大路順一EPが担当しました。
シンセサイザーやマルチパーカッションから効果音までを大胆に加えた、フルオーケストラバージョンで、5曲、およそ30分。二日間で5回公演を行いました。

02-concert

コンサート空間

コンサート空間

演奏された楽曲:

(指揮/工藤俊幸、テノール/村上公太、演奏/とくしま記念オーケストラ 編曲/三宅一徳)

M1:『青の序曲』(祖谷の粉ひき唄)

今回、全ての編曲と音楽監督を務めてくださった三宅一徳さんによる、徳島の民謡を下敷きにしたテーマ曲です。「青」というイメージが持つ若さ、将来性、エネルギーを象徴する楽曲に仕上げてくださいました。

M2:『モルダウの流れ』(作曲:スメタナ)

徳島県の動脈である吉野川の豊かな流れと、水の持つすがすがしい生命感を、このスタンダードな名曲に託しました。

M3:歌劇「トスカ」より『星は光りぬ』(作曲:プッチーニ)

徳島県・阿波人形浄瑠璃、世話物の4Kイメージ映像とオペラ、本当の愛を歌い上げるアリアの名曲を融合させました。テノール:村上公太。

テノール村上公太さん(4K映像加工した阿波人形浄瑠璃との共演)

テノール村上公太さん(4K映像加工した阿波人形浄瑠璃との共演)

M4:ワルツ「美しく青きドナウ」(作曲:ヨハン・シュトラウス二世)

SF映画「2001年宇宙の旅」でも使われた名曲を、宇宙への広がりをイメージした効果音、編曲で現代的にアレンジ。

M5:交響曲「第九」第四楽章(作曲:ベートーヴェン)

最後は、年末の大合唱でお馴染みの「第九」歓喜の歌(調べ)。ご存じの方も多いでしょうが、徳島県は、『第九』アジア初演の地であり、今まで様々な編曲、スタイルで演奏されてきました。4人の独唱と合唱で高らかに歌い上げる終楽章を、今回、1人のテノールとシンセサイザーという、今までにないスタイルで表現しました。

生演奏と映像が連動する新しいコンサートスタイルを目指して

このコンサートの制作は、音楽の観賞スタイルそのものを見直すことからスタートしました。つまり、「プロセニアム・アーチ(額縁)の中で展開されるコンサートを正面の客席から見る」という従来のスタイル以外にも、新しい音楽空間を提供したい、と考えたのです。空間、ビジュアルを設計するクリエイティブプロデューサーを、グローバル事業本部 イベント・映像展開 山田崇臣EPが務めました。

今までにない音楽空間を体験していただくために山田EPが生み出したのは、円形のステージ。その中心に指揮者を、そこをぐるり360度取り囲むようにオーケストラを配置しました。

円形に配置されたステージ空間

円形に配置されたステージ空間

ステージの左右にそびえたつように、スリットスクリーンが2セット40枚。正面には大スクリーン、紗幕。また、指揮者を取り囲む32本のポールという基本構造で、シーンに応じて、4K含め、音楽と映像を多種多様に連動させるプロジェクションマッピングを実現するステージ配置です。

様々な映像の“仕掛け”を用意したステージ

様々な映像の“仕掛け”を用意したステージ

指揮者と演奏者との間はいわば、「かぶりつき」スペースとして、20数人が、今までにない視点でコンサートを楽しむことが出来るようにしたのをはじめ、もっと身近に音楽を体感できる1F席(立ち見席も)と、従来通りに正対する2F席と、「鑑賞スタイルを選べる」ようにしました。

“かぶりつき”スペースから観賞

“かぶりつき”スペースから観賞

「4K」尽くし。新しい収録スタイル、テクノロジーを導入

この夏、日本に導入されたばかりの4Kプロジェクターも使用し、今までのプロジェクションマッピングとは一線を画する多角的な映像世界を展開。そして4Kカメラ13台による、マルチスイッチング・マルチ収録を実施しました。スイッチングアウト映像は、ホール内ロビーで「4Kパブリックビューイング」するとともに、前述した、徳島市内の別会場に4K生伝送、徹底した“4K化”を目指しました。

アスティとくしま(徳島市)4K生伝送・パブリックビューイング会場

アスティとくしま(徳島市)4K生伝送・パブリックビューイング会場

13台のカメラのうち、有人カメラは6台で、そのうち5台はリモートオペレーションにしました。コンサート会場からスタッフを極力排除して、オーケストラとオーディエンス(観客)の密なる空間が確保出来るよう、収録スタイルそのものにも新しさを追求しました。

4K・13カメラスイッチング風景

4K・13カメラスイッチング風景

カメラマンはバックステージでリモート撮影

カメラマンはバックステージでリモート撮影

クライマックスの『第九』では、指揮者・工藤俊幸さんの指揮棒の動きをリアルタイムでセンシングして、その動きを光の軌跡に変えてスクリーンに映像として映し出しました。インタラクティブな要素も取り入れ、最先端テクノロジーを活かしたエンターテインメントの実現にチャレンジしたのです。技術面の統括をするテクニカルプロデューサーには、グローバル事業本部 デジタル・映像イノベーションの伊達吉克EPがあたりました。

私自身は4Kコンテンツの制作経験もあり、高精細映像にはかなりなじみがある方だと思っていました。ですが、今回、4Kカメラ13台のマルチスイッチングで構成されるライブ映像を目の当たりにして、4Kの奥行き感、表現力に、正直、驚きました。来年始まる4K、8Kの試験放送を前に、高精細映像が切り拓くコンテンツ新時代は、始まったばかり。まさに本番はこれからだ! ということを強く実感させられたのです。

NEPならではのネットワーク、皆さんとともに

今回の新感覚「4K」コンサートは、社内横断的なスタッフ体制で臨みましたが、これまで数々のコンテンツをともに作りあげてきた協力会社の方々との強い信頼関係があったからこそ、今回の様々なチャレンジが達成出来たということを、最後にお伝えしておきたいと思います。(全体の窓口・調整役を担う事業統括は、グローバル事業本部 イベント・映像展開の水野直樹EPが担当しました)

例えば、4K含め、様々なプロジェクションマッピングをシーン毎に切り替えていくという難問に応えてくださったのは、東京駅丸の内駅舎で行われた「TOKYO STATION VISION」(記録映像はこちら)をご一緒した、エス・シー・アライアンスさんですし、新しいコンサート空間やCG映像の製作は、NHKアートさん。技術ジャンルでは、ストロベリーメディアアーツさん、NiTRoさん、SUAVE IMAGESさん……。
その他、各セクションの精鋭たちがチカラを結集してくださったからだと確信しています。皆さん、ありがとうございました。

東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年に向けて、スポーツだけでなく、様々な文化イベントの開発、実施が求められています。
弊社は、独自のノウハウとネットワークを最大限活かして、これからも、最先端のテクノロジーを駆使した次世代型のコンテンツを企画、開発していきます。
NEPの取り組みに、ご期待ください。また、この記事をご覧になった方とも、何か、ご一緒出来ることを願って、私の報告を終わらせていただきます。

(グローバル事業本部 イベント・映像展開 エグゼクティブ・プロデューサー 関山幹人)


『青のシンフォニー』に興味を持ってくださった方へ

来る、11月18日(水)~20日(金)InterBEE 2015(幕張メッセ)の徳島県ブースで、『青のシンフォニー』コンサートの4Kダイジェスト版が上映される予定です。

百聞は一見に如かず! 是非、徳島県ブースにお運びいただき、ご覧になってみてください。
そして感想、ご意見などうかがえれば幸いです。


【公演情報】

阿波市制施行10周年記念事業
新感覚「4K」プロジェクションマッピング・コンサート『青のシンフォニー』
指揮/工藤俊幸 テノール/村上公太 編曲/三宅一徳
演奏/とくしま国民文化祭記念管弦楽団(通称:とくしま記念オーケストラ)

日時/平成27年10月24日(土)開演13:30、16:00 25日(日)開演10:00、13:30、15:30
場所/阿波市交流防災拠点施設「アエルワホール」
主催/阿波市・徳島県
共催/文化立県とくしま推進会議・公益財団法人徳島県文化振興財団
助成/文化の力によるまちづくり支援事業・一般財団法人自治総合センター
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

ページトップへ